I先輩
「ま、この先どんなことしても千彰はお前に会わねーよ
今日でわかったろ。
それくらい、あいつだって後悔してんだ」
「…やっぱわかんねーよ、俺にあいつの気持ちは」
たか先輩は両手で頭をクシャクシャにした。
「もーお前らには迷惑かけないから…なんか、もーどーでもよくなった!」
「たか先輩…」
「…じゃ、ほんと、ごめんねことりちゃん」
わたしはブンブンと勢いよく頭を横に振った。
たか先輩は眉毛を下げて笑うと、部室を出て行った。
千彰先輩と、たか先輩と
二人の間には"何か"がある
それは二人の問題で…わたしには、何も出来なかった
「…ことりちゃん」
ボソッとカズ先輩がわたしの名前を呼ぶ
気付いたけど…
今、部室にはわたしとカズ先輩の二人きり
そう思うと自然と心臓がうるさくなっていくのがわかった。