I先輩
 


「梨乃ちゃん、これ切って!」

「それ…なに?」



わたしは自分の手に抱えてるメロンを見る。



「なにって…メロンだよ?」

「知ってるし!なんに使うのかって聞いてんの!!」

「メレンゲだよ?」

「バッッッカじゃないの!?」



梨乃ちゃんに思いきり睨まれた。

え、違うの!!?



「もーあんたいいから、あたしがやる」



そんなぁ……

梨乃ちゃんはわたしをシッシッと追い払うとまた作業を始めた。



―ガラッ


「どー?頑張ってる?」



家庭科室のドアが開いて、カズ先輩がビニール袋を持って入ってきた。



「カズ先輩…」

「その様子は、うまくいってない感じ?」



わたしは黙って頷いた。



「だろうと思って、そんな君たちに魔法の調味料を持ってきました!」



魔法の…調味料?



「なんですかっ?」



わたしは身をのり出して聞いた

梨乃ちゃんは相手にしてない感じでひたすら何かをかき混ぜてる。


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