花明かりの夜に
沙耶の頬がますます青ざめた。


(だめ、わたしの手はすべて見切られてる――!)


「なかなか頑張るね」


意地悪な笑みを浮かべたまま、刀をひらりと繰り出すと。


ザシャアッ


後ろに飛びすさるのも間に合わず、沙耶の着物の帯が裂けた。


「きゃぁっ」


あわてて着物の前をかきあわせる沙耶に、紫焔はおかしそうに言った。


「このまま着物を切り刻んでやるのもおもしろそうだな。

――どうする?」

「……」
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