花明かりの夜に
片手で胸元を押さえ刀を構えあぐねる沙耶に、紫焔の刀が無慈悲にまっすぐ突きつけられた。


ざくり。


「きゃあっ」


思わず目をぎゅっとつぶって。


(……)


「……?」


静けさにおそるおそる目をあけると。


紫焔の刀が沙耶の脇の下へ伸びて、着物を壁にぐさりと突き通していた。

刀で壁にはりつけにされた沙耶の心臓は激しく打ったまま、言葉が出ない。


「……」

「……どうする?

着物を脱がないと逃れられないよ」

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