花明かりの夜に
(だって、苦しむのはわたし一人だもの)



「君は意地っ張りで、取り澄まして冷たくて――一見強そうに見えるけれど、

ほら――鎧の中の君は壊れそうにもろくて、いつもひとりで泣いているように見える――小さな少女のように」


するりと体を覆う布がはぎとられ――

そっと抱え上げられた。


「おいで――」


刀に串ざされた着物のみが、壁に残されていた。

ほんのりと体温を保ったまま。




(紫焔さま、あなたも同じなのですか――あの男たちと)



むきだしの肌をすべる指が、沙耶の心の弦をかき乱す。

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