花明かりの夜に
(それとも――

ひとりの人間として、見てくれるの――?)


心にそっと差し込むひとすじの光にしがみつく。




(若さま……お願い。遊びならやめて)


心のどこかで必死な声がそう言った。


きっとこれは、いつもと違う花を手折る遊び。

ちょっと変わった果実をもぎとって味わい尽くせば、次のたわわな果実に手を伸ばす。


「……やめて、いけません」

「本当にやめてほしいの?」


笑いまじりの余裕の声。


「やめ……」
< 158 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop