花明かりの夜に
「だから、今度何かあっても逃げちゃいけない。

逃げずに立ち向かってごらん。

何があっても、今度はわたしが君を守るから」

「紫焔さま……」


“今度はわたしが君を守るから”


その言葉を、何度も何度も心の中で繰り返した。



  * * * * 



(はぁ……忙しい)


婚礼の準備という、嬉しい忙しさのさなか。


たくさんの人が行き来する活気のある通りをうきうきと足早に歩いていて。

ふと何だか嫌な視線を感じて、沙耶は振り返った。

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