花明かりの夜に

怒りと恐怖で、体がぶるぶると震えた。


「仕込んだ甲斐があった。

いろいろ役に立ったろ。

よくやった。あがりはよこせよ」

「……何を……言ってるの?」

「おまえは俺の女だ」

「いや、触らないで!」


触られると体の芯から腐るような気がして、必死で弥之介の手を避けた。

同じ空気を吸っていることすら気持ちが悪い。


しかし、抵抗むなしく、がっしりと手首をつかまれて壁に押し付けられてしまった。


「俺から逃げやがって、このクソ女」

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