花明かりの夜に
顔を近づけて話す、その生暖かい吐息が頬にかかるのが耐えられなかった。


「離して!」

「離すものか。

なんせ俺は、おまえの初めての男だからな。

それだけは絶対に変えられない」

「……」


思い出すだけでゾッとする。


「さぁて、おまえと何度やったかな。

まだおまえの若君よりは多いだろ」

「いやよ、離して……」


大声で叫ぼうとする口元を、大きな手が容赦なく塞いだ。
< 202 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop