花明かりの夜に
「うううう」


言葉にならない叫び。

粗野な手から伝わる湿気に、吐き気がした。


「言うことを聞かなければ、おまえのことを言いふらしてやる。

おまえはもうすっかり有名人だ。

さぞかし好奇の目線がおまえに集まるだろうよ。

――そうなりたいか?」

「……」

「毎晩毎晩違う男に股を開いていたってな。

それも公衆の面前でな。

おまえの若さまもそれはそれは恥ずかしい思いをするだろうよ」


(どうしよう、どうしたらいいの)

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