花明かりの夜に
(脅して、人を好きにしたいならするがいいわ。

そんなことでしか人を動かせないならね。


でも、心は絶対にあなたのものにはならない)


精一杯の侮蔑を込めて。


「……何だ、その目は。

何が言いたい」


挑発するように、沙耶の口を覆っていた手を外す。


「言いふらしたいなら、言いふらせばいいでしょ」

「何だと」


弥之介の眉が上がった。


「何を言われようとわたしは平気だもの。

好きに言いふらせばいいじゃない。やれるものならね」

< 207 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop