花明かりの夜に
一度口を開くと、溜まったものが爆発するように出てくる。


「……おまえ、どうせ俺が何も言わないと思ってるだろ。本当に言うぞ」

「だから言えって言ってるでしょ、さっきから。

わたしの弱みを握ってるとでも思ってるなら、大きな間違いよ」

「何だと」


沙耶は馬鹿にするように小さな顎をあげた。


「何なら今わたしが言いましょうか。

わたしはこのくだらない男に騙されて力づくで押し倒されて、

挙句の果てに見せ物にされて、

毎晩男たちの前で肌をさらす羽目になって。

夜はこの男の慰みものにされて、死ぬほど辛い日々を過ごしたってね」


沙耶は声を張って、一言一言はっきりと言った。

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