花明かりの夜に
(見ていてくださったんだ)


“今度はわたしが君を守るから”


紫焔の言葉をふたたびかみしめる。


「ちょっと、言い過ぎたかもしれません……」


泣きながら紫焔を見上げて笑う沙耶に、紫焔も笑いかけた。


「いやいや、あれくらい言ってやれ。

なかなかのものだった。

――男はあれくらい言わないとわからない生き物だからね」

「……」

「沙耶を怒らせると大変な目に遭うと、わたしも覚えておかないといけないね」

「……もう」


頬をふくらませて、冗談めかして紫焔の胸元を叩く。
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