花明かりの夜に
紫焔の部屋が近づくにつれ、大きくなる音。

ガツン ガツン


(まさかとは思ったけど――

こんな日にまで何やってるの、お二人は)


桂は紫焔の部屋のふすまをガラリと開けた。


「ちょっと、若さま、ご婚礼の日まで何をやってるんですか!」

「悪いね、なかなか勝負がつかなくてね」


竹刀を構えたまま、紫焔はちらりと桂に視線を投げた。

紫焔の向こうには、同じく竹刀を上段に構える沙耶。


――花嫁衣装を着て。

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