花明かりの夜に
「ちょっと、沙耶さん! すごく倒錯した光景よ」

「だって、紫焔さまが斬りかかってくるんですもの」

「こんな衣装でも戦えるのかと思ってね」

「若さま! 好奇心もほどほどになさいませ」

「桂さん、意外に動きやすいんです、この着物」

「桂、あともう少し――勝負がつくまで待ってくれ」

「ダメです! もう出る時間なんですから」

「おっと」


容赦なく割って入った桂に竹刀を取り上げられて。


「まったくもう」


ぷぅっと頬を膨らませた桂は、次の瞬間、吹き出した。


「もう、こんなお二人、知りません!」

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