「好き」を乗せた紙ヒコーキ
「…あ…亜弥ちゃんは、た、たしか4月から高校生だよね?」
あたしたちがあまりにも無言だから裕司さんは気まずくなったのか、ぎこちなくそう聞いてきた。
「…あ、うん。そうです」
あたしがそう返事をすると、波留くんは口を少し緩めて、あたしをまた、まじまじと見つめ出した。
「へぇ。亜弥ってオレより年上なんだ」
透き通った、綺麗な声。
耳に残る、おっとりとした優しい口調。
…っていうか、もう呼び捨て?
…だったら、あたしも波留くんのこと呼び捨てにしてやる!
「うん。みたいだね」
「ふーん。よろしく」
きっと、波留く…波留じゃない他の誰かが今の「ふーん。よろしく」を言ったらそっけなく聞こえる。
でも波留がいったその言葉は全然素っ気なくなくて、何かが込められていそうな言い方。
波留が放つ雰囲気はちょっとミステリアスでよくわからない。
でもきっと、優しい人。
だって、波留のお父さんが優しそうな人だもん。