「好き」を乗せた紙ヒコーキ
カバンに財布と小さくたたんだエコバッグとメモを入れて、玄関のドアを開けた。
今日はやっぱりあったかい。
太陽もキラキラしてて、空は雲ひとつない快晴。
風も吹いてないし、ほんといい天気。
少し浮かれて、鼻歌を口ずさみながら自転車に乗り、家を出る。
…あ、ほんとだ。
トラックが止まってる。
隣の空き家だった家を通り過ぎようとしたとき、大きなトラックが家の前に止まっていた。
引っ越しセンターの人たちがせっせと荷物を運んでいて、忙しそう。
そんな光景を横目で見ながら、通り過ぎる。
隣の家はあたしが小学4年生くらいのときに空き家になって、それきり誰も越してくることはなかった。
でもやっと、今日から隣の家も空き家じゃなくなるのかぁ。
どんな人たちなんだろう。
おじいちゃんおばあちゃんかな?
それとも新婚さん?
それとも家族かな?
お父さんとお母さんがいて、間には2人くらい子供がいたりして。
1人の子どもはお父さんに肩車をしてもらって、お父さんとお母さんの間にもう1人の子が入り、手をつなぐ。
そんな家族だったりして。
…お父さんに肩車をしてもらうってどんな感じなんだろう。