「好き」を乗せた紙ヒコーキ
あたしにはお父さんがいない。
私が生まれてすぐ、家を出ていったらしい。
…ママじゃない、他の女を連れて。
その女のお腹には子供がいたんだって。
パパはあたしよりもその子の方が大事だったみたい。
ママとあたしとパパじゃなくて、
他の女とその女との子供とパパで暮らしているんだって。
あたしはパパの顔を知らないし、
名前を呼ばれたことも
抱っこしてもらったことも
全部覚えていない。
…いや、してもらったことがないから覚えていないのかもしれない。
別に寂しいって思ったことも、悲しいって思ったこともないけど、
その話を悲しい顔で話すママを見ているのがすごく辛かった。
ママにこんな悲しい顔をさせたパパが嫌い。
大嫌いだ。