天然王子
 

紗和がいなくなってから、私はB組に行ってあゆこちゃんとみつきちゃんにさっきのことを話していた。


「それは、絶対好きでしょ」

「だよね〜?」


わざわざ隠すことないのに。

まぁ確かに佐竹なんか好きだって思いたくないのはわかるけど…


「てか、ハルって彼氏つくんないの?」

「え!?」

「うちら彼氏できたんだよね」

「えぇ!?」


彼氏!!?

あれ?だって二人は…


「王子が好きなんじゃ…?」


私がそう聞くと、二人は顔を見合わせて笑った


「あー好きは好きだけど、やっぱ叶わないってわかってんのにずっと思ってるとかできないし」

「まー王子は目の保養ってゆーか、憧れってゆーか…
なんか手の届かない存在?ほら、芸能人みたいな」


"手の届かない存在"

やっぱり、そうなのかなぁ…


「まぁ、適度な男で手をうっとくのが一番だよ、高望みはしないほーがいいし☆」

「ま、ハルも早く彼氏つくんなよ〜」

「うん…」


確かに王子はみんなに好かれてて、私はその中の一人でしかないけど…

でも今は、王子以外なんて考えられなかった。


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