天然王子
「そーいや悠弥って彼女いたことあんの?」
教室に戻ると佐竹と田熊がそんな話をしていた。
佐竹…彼女ができたからって調子のってんな。
「は?ないけど」
「好きな子いたことは?」
「………たぶん、ない」
「は!?まじで!?」
16で初恋もまだって…どんな純情少年…
私は田熊の隣の席に座った。
「あーぁ、モテない男ってさーみしーい」
「あ゙?」
私が机に肘をつきながら言うと、田熊は眉間に皺を寄せた。
「お前も人のこと言えんのかよ」
ビシッと痛いとこをつかれた。
そりゃ私なんか告られたこともないし、モテないし、言い返す言葉が見つからない…
「ほらな」
「うるさいなぁ!」
「…てか、もういっそのこと二人付き合っちゃえばいーのに」
「「はぁ!?」」
物凄い勢いで二人に睨まれた佐竹は、焦りながら急いでさっきの発言を訂正した。
「ごめん、やっぱナシっ☆」