天然王子
 

「そーいや悠弥って彼女いたことあんの?」


教室に戻ると佐竹と田熊がそんな話をしていた。

佐竹…彼女ができたからって調子のってんな。


「は?ないけど」

「好きな子いたことは?」

「………たぶん、ない」

「は!?まじで!?」


16で初恋もまだって…どんな純情少年…

私は田熊の隣の席に座った。


「あーぁ、モテない男ってさーみしーい」

「あ゙?」


私が机に肘をつきながら言うと、田熊は眉間に皺を寄せた。


「お前も人のこと言えんのかよ」


ビシッと痛いとこをつかれた。

そりゃ私なんか告られたこともないし、モテないし、言い返す言葉が見つからない…


「ほらな」

「うるさいなぁ!」

「…てか、もういっそのこと二人付き合っちゃえばいーのに」

「「はぁ!?」」


物凄い勢いで二人に睨まれた佐竹は、焦りながら急いでさっきの発言を訂正した。


「ごめん、やっぱナシっ☆」


< 107 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop