天然王子


仲良さそうに歩く二人を見て、本当に何も言葉が出なかった。

あまりにも綺麗二人が釣り合いすぎてて…


前にあゆこちゃんとみつきちゃんが言ってた。

王子は"手の届かない存在"だって。

確かにそうだよね


「……彼女かなぁー?」


あの子が、王子が誰からの告白もOKしない理由なんだ。

私は二人の後ろ姿をただぼーっと見てつめていた


「これ…渡す相手、どんなやつか教えてやろーか」


しばらくして、田熊がネックレスの入った袋を見せてそう言った。

田熊が自分のことを自分から話すなんて珍しかった

だから…ちょっと知りたくなった
"田熊の恋愛"



「……どんな子なの?」


私がそう聞くと、田熊はネックレスをながめた。


「超金持ちのちっさい女」

「…は?」

「それに…かなりの甘い物好きで…あ、お前よりバカかも」

「え、私より上ってそうとうじゃない!?」

「おまっ…自分バカだって認めんなよ」


笑って話す田熊は、今までに見たこともないような笑顔だった。


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