天然王子
 

「きっと…田熊はその子のこと大好きなんだね」


笑顔で話す田熊を見て、そう思った


「……かもな」

「お!認めたっ」

「でも、例えそうでも絶対言わねー」

「なんで?」

「俺じゃ幸せにできないからだよ」


そう言った田熊はなぜか真っ直ぐで切なげで…私は何も言えなかった。


「つかさ、お前さっきの広瀬たち見てどー思った?」


王子とさっきの女の人…


「そりゃ…私と違ってお似合いで、なんか釣り合ってて…」


あー、思い出したらまたテンション下がってきた


「実際、俺は釣り合う釣り合わないとかはは問題じゃねーと思う…まぁよくわかんねーけど…あんま気にすんな」


それって…なぐさめてるつもりかな?


「けどさぁー…」

「バーカ落ちてんなよ、らしくねー」


下を向いた瞬間、田熊に頭をグシャグシャにされた

私はすかさず顔を上げて冷たい目つきで田熊を見た


「うーわそーゆーのやめて下さいー」

「敬語とかきんも!!」

「あ゙ん?」


私がそう言うと田熊は口を手に当てて下を向いて吹き出した

それから急に真顔になって言った。


「じゃ、俺バイトだから行くわ」


うっそー
この流れでぇー…?


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