天然王子
 

もちろん聞く相手はただ一人


「どした?」


私はシュンくんを屋上に呼び出していた。


「えーと…広瀬くんのな…」


言いかけてやめる

だってもし…




『なぁ時田さんお前の名前知らねえんだって!!』

『…え…俺彼氏なのに…』




なんて王子に告げ口されたら!!

いやシュンくんがそんなことする人じゃないのはわかってるんだけど!!!


「あの…ですね…」

「ん?」


でも結局誰かに聞かなきゃ名前わかんないし!


「広瀬くんの下の名前ってわかります…?」

「…………………」


ちょ…なんで黙んの?


「あー、そーゆーのは直接本人に聞いたらいーんじゃ?」

「それができないからこうやって…」

「いや大丈夫、全部聞かれてるから」


え……

シュンくんが指差した先には王子

もしかして今の聞かれてた!?てか…いつの間に!?


「じゃ、俺は行きまーす」

「えっ…!まっ!!」


引き止める前にシュンくんは行ってしまった。

できれば今は二人きりにしないでほしいんだけど…


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