天然王子
 

「ったくお前なぁ」

「じゃー田熊は聞いてたの!?」

「聞いてねーから言ってんじゃん」


堂々と腕を組む田熊…

それ、威張ることじゃないと思うんですけど?

つまり私と一緒なんじゃん、使えない


「じゃあこれからどーすん…」


―ヴーッ…ヴーッ…


その時、私の言葉を遮るように携帯電話が鳴った。


「…もしもし?
あ?だから帰んのはあと3日後だって…だからおまっ、話聞けよ!」


田熊は電話をしながらチラッとこっちを見ると、


「あ、悪い
5分だけ待っといて」


と言って茂みに入って行ってしまった。

………女か…女だなあれは

なんてことを思いながら電話が終るのを待った。

5分待ってもいっこうに電話が終る気配はしなくて…


「……………」


すると、後ろから声がしてきた。

たぶん、次の人が私達に追い付いちゃったんだろう

あーもー田熊が長電話なんかしてるから…!


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