天然王子
「紗和…私、あした王子と回ることになった」
私は携帯を胸の前に抱えたまま紗和に言った。
「やったじゃん!」
そして、お互い顔に気持ち悪い笑みを浮かべた。
「おっ…おはよう!」
「おはよ」
眠たそうに欠伸をして、ホテルから王子が出てきた。
今日は…とりあえず……
初デート、ってこと!?
そう考えただけで、顔に熱が集まってくるのがわかった。
「…あ、ごめん待った?」
王子が時計を見て申し訳なさそうに言った。
約束の時間より、10分遅れてる。
私はすかさず、両手を左右に振った。
「ううん、私も今来たとこだしっ」
わぁ…
なんだろう…なんか……
デートっぽーい!
「ほんと?」
本当は、1時間前から待ってました。
「うん、てかっ王子ならもっと遅れてくるかもとか予想してた」
だって、王子常に寝てるし