天然王子
お店を出て、次の行き先を決める
その間、どうしても目がいってしまう王子の左手…
手、繋ぎたいなぁ…
そんなことを思っていると、王子は突然ピタッと足を止めて、自分の手を私の前に差し出した。
「……はい」
「えっ」
「…ハル、はぐれそうだから」
そう言って王子は少しだけ口の端を上げた。
最近、よく笑ってくれるようになった気がする。
「はっ、はぐれないよ!」
私はそう言いつつも、そっと王子の手を握った。
恋人繋ぎは、まだ恥ずかしくてできないけど
…なんか、こんなに幸せでいいのかな?
だって、よく言うじゃん
幸せの後には不幸がある、って
良いことの後には悪いことが…
「あ、」
そう発したのは、私でも王子でもなくて…
「シュン…」