天然王子
目の前には、友達と一緒にいるシュンくんが居た。
「おう、羽矢。デート?」
「…うん」
シュンくんはいつもの笑顔で話しかけてきた。
シュンくんが王子の名前を呼ぶと
なんだか胸が、ざわざわする。
王子の手を握る力が自然と強くなっていた。
「シュン行くぞー?」
「じゃー、呼んでるしまたな」
「…うん」
王子は小さく返事をした。
私は内心、何も起こらなくてホッとしていた。
シュンくんの背中が、だんだん小さくなっていく…
「あ、そーだ」
シュンくんは私たちの方を振り返ると、私に向かってニッコリと笑った。
「昨日はほんと、ありがとな」
「えっ…」
シュンくんの言葉に私はただ、固まるしかなかった。
「…昨日?」
王子の手が、ピクッと一瞬揺れた。