天然王子
「もう終わっちゃった…」
時間が経つのって早い
好きな人と過ごす時間は特に。
気付けば空はすっかりオレンジ色で、私たちはホテルの前で立ち止まった。
お互いどちらともなくゆっくりと手を離した。
「今日は、楽しかったね!」
「…うん」
王子はゆっくりと頷くと、眠たそうに片目を擦った。
今日は、頑張って起きてたんだね、王子
―ヴーッ ヴーッ …
「あ、ごめん…」
そう言うと王子は自分の携帯を耳にあてた。
「…はい」
誰と、電話してるんだろう?
「……なに?」
私はただ、王子の様子を見ていた。
「………………」
すると王子は急に無言になって、しばらくしてから電話を切った。
「どうしたの?」
私が不思議になって聞くと、王子は私をジッと見た。
「…ハル、やっぱ昨日……」