天然王子
「ごめん、俺…アイツに嘘ついた。」
私の目の前で、頭を下げるシュンくん。
風がサワサワと髪を揺らした。
正直、もうシュンくんが王子に何を言ったのかなんて、どうでもよかった。
ただ…
「…私、わかったよ。
大好きな人に、信じてもらえないって、こんなに苦しいんだね。」
シュンくんは、今までずっとこんな気持ちで過ごしてたのかなぁ?
そう思ったら、心がいたくて…
「でもね、私どうしても王子には信じてもらいたい。」
嫌われたくない、王子には。
「大好きな人には信じてもらいたいし、諦めたくないから…」
今度は、私が頭を下げた。
「ごめんね、シュンくん…」
「……………」
頭を下げたままで、シュンくんの表情が見えない。
…突然、二人きりの屋上に、笑い声が響いた。