天然王子
「羽矢…なんでここに?」
私は、目の前の王子に向かって言った。
「……ハルの教室行ったら…ハル、シュンとどっか行ったって聞いて…」
自分のセーターで汗を拭いながら、王子が言った。
汗をかいてる王子なんて、なんか新鮮で…それすら似合ってる王子に、思わず見とれてしまった。
「……さがした、すっごく」
王子、私のことさがしてくれたの?
でも、紗和たちにはちゃんと屋上に居るって言ったのに…
「なんで?」
「……だって」
王子は、真っ直ぐに私の目を見た。
「俺、あんなこと言ったし…ハルが、離れてっちゃう気がして……」
そんなの、あるわけがないのに。
むしろ心配してたのは私の方で…
気がついたら、私の両腕は王子の首に巻き付いていた。
「……っ…と……汗…かいてるよ?俺」
「いーのっ!」
「………………」
王子の心臓がドクドク言っているのは、走って私をさがしたせい
でもきっとそれだけじゃ、ないはず。