天然王子
はじめての味
―キーン コーン…
真っ白な雲が、ゆっくり動いてるのがわかる。
それくらい、私たちは朝からずっと屋上にいて…
きっと、今のチャイムはお昼を知らせる音。
「……………」
王子は未だに私の膝の上で、スースーと寝息をたてている。
てか…いつまで寝てんのかなぁ…?
さすがに、ずっと同じ体勢だったから足のしびれが限界…っ
―グゥー…
お腹が鳴る。
あ、どうやらこっちも限界だったみたい。
「………んっ…」
王子はお腹の音に反応してか、目を擦りながらムクリと起き上がると、辺りをキョロキョロ見渡した。
「………あれ?」
「おはよ、どうしたの?」
私はさりげなく足を崩した。
ジンジンと痺れているのがわかる。
「……みかんが…みっかんない」
「………………」
あれ、王子ってダジャレとか言うキャラだっけ?
「え?」
私はもう一度、聞き直した。