天然王子
放課後、私は誰もいないことを確認してB組の靴箱の前に立った。
手には数学のプリント。
王子と話せたことで頭がいっぱいで、昼休みに渡し損ねていたから。
私は上から順に王子の名前を目で探した。
「広瀬…広瀬……あった!」
勢いよく"広瀬"と書いた靴箱を開けると丁寧に四つ折りしたプリントを入れた。
外靴がある…
まだ帰ってないのかな?
「……人の靴箱開けて、なにしてんの?」
急に後ろから声がして、私の肩はビクッとした。
ゆっくり声のした方を振り向くと…
「ははっ、今のアイツに似てた?」
そこにはニカッと笑ったシュンくんがいた。
「ビッ…クリしたぁ…!
王子に怒られたかと思った!!」
私がそう言うとシュンくんは笑いながらごめんと謝った。