天然王子
パタン…と静かに部屋のドアが閉まった。
無言で歩き出す王子の後ろをとりあえず小走りで追った。
するといったん王子が足を止めて私の方を振り返った。
「……じゃ」
着いた先はカラオケの入り口
王子は一言そう言うと、カラオケボックスを出てまた歩き出した。
私は訳が分からず王子の後を追った。
「えっと…あの…トイレは?」
「別に行きたくない」
「じゃあなんで私を…」
「なんか帰りたそうにしてたし」
私の頭の中は"?"でいっぱいだった。
え?それじゃあ王子は最初から帰る気だったってこと?
「あれ?じゃあなんで合コンなんて来たの?広瀬くんモテるのに…」
王子はまた足を止めて今度は首だけをこっちに向けて言った。
「別に…モテないよ?」
うそだぁ〜
私が眉間に皺をよせて頭を傾けると王子も同じように頭を横にした。