天然王子
《第2章》
ドキドキと空腹感
「ほら、王子登校してきたよ」
窓の外を指さして紗和が言う。
私はブンブンと顔を横に振った
「なんで?最近見てないじゃん
いつもの日課だったのに。」
「だめ…私、病気かもしれない」
「はぁ?」
いつまでたってもじっと椅子に座っている私を見て、紗和が前の席に座った。
「なに、どっか悪いの?」
そういって紗和が額に手をあてた
「熱はないみたいだけど…気持ち悪いなら保健室行く?」
紗和はいつも体調悪い時"だけは"優しい…
けど、体調が悪いわけじゃない
私はまた勢いよく顔を横に振った
「…なんか…王子見たらドキドキすんの」
「……………」
私は自分の心臓をおさえた。
紗和は呆れたように言った
「いや、そりゃ好きだからに決まってんじゃん」
「え!?私って王子好きなの!?」
「好き以外のなにものでもないじゃん、あんたバカ?」
え…ってことはこれは…
「恋の病?」
急に声がして横を向くと、机に肘をついてこっちをニヤニヤ見ている佐竹がいた。