天然王子
昼休みの屋上で私はご飯も食べずにずっとケータイとにらめっこをしていた。
「つか、さっきから何回問い合わせしてんの」
「だってえ〜」
横にいる紗和を見て眉を下げる。
ずっと待ってるのに王子からメールが来ないから…
「まぁ、気長に待ってなよ。
あたし自販行ってくるけどハルどーする?」
「私いま節約期間だからいー」
そう言って持参したお茶が入ってる水筒を見せた。
「遠足かよ」
「CD買ったらお小遣いなくなっちゃったんだもん」
「へー、じゃ大人しく待っててね」
「はいはーい」
紗和に軽く手を振ってまたケータイをひらく。
画面にはEメール受信中の文字
「き…来た!!」
届いたメールをひらくと知らないメールアドレスだった。
本文には『後ろ』とだけ書いてあった。
「うしろ…?なにこれイタズラ?」
私はメールを見ながら首を傾げた。
「ハル」
聞き覚えのある声がして後ろを向く。
でも後ろには壁…
壁をたどってぐるっと反対側まで行くと、そこには王子がいた。