天然王子
「そっか、頑張れ」
「うん!頑張る!!」
私は両手でガッツポーズをした。
「でもアイツほんと鈍感だしな…それに超天然♪」
さっき気になったこと…聞いてもいいかなぁ?
「ねぇ、シュンくんはどうして王子のこと名前で呼ばないの?」
私が聞くと、シュンくんは「んー…」と言いながら困ったように眉を下げた。
「…近づきたいようで、あんま近づきたくないからかな?」
「なんで?」
二人は仲良しなんじゃないのかな…?
王子いっつもどっかで寝てるから、あんまり一緒に居るとこ見たことないけど…
「ほら、アイツ普通にいー奴だし」
正直、シュンくんの言った意味がわからなかった。
"いー奴"なのになんで?って思ったし…
「ま、そのうちわかる」
シュンくんはまたニカッと笑って屋上を出て行った。
そのうちって…?
私はシュンくんが出て行ったドアを、眉間にシワを寄せて見つめた。
"そのうち"がいつかなんて私には全くわかんなかった