天然王子
「あ、シュン…」
「……………」
「お前担任が呼んでたぞ、なんか遅刻指導とかいって」
シュンくんが王子に向かって言った。
「……俺、朝弱いって言ったのに…」
「頑張れよ平日くらい」
「……行ってくる…じゃーねハル」
私が王子に向かって小さく頷くと、シュンくんが私の方を見た。
「え?時田さんいんの?」
王子が出て行くと、シュンくんは私の向かいに座った。
私は手の中のアイスと、シュンくんの顔を交互に見た。
「あぁ、俺いらないから食べていーよ」
「ほんとに!?」
「うん」
「ありがとー!!!」
―ボトッ
その瞬間、私の目の前に何かが落ちた。
「え…」
手はベタベタになっていて、右手にはアイスの棒、机の上には溶けたアイスのかたまりがあった。
「あぁあ゙ぁぁーっ!!!」
ショックで放心状態の私…
それを見たシュンくんは近くにあった雑巾を持ってきた。
「とりあえずここ拭いとくから手洗ってきたら…?」
「うん……」
私はのそのそと洗い場に行った。