天然王子
「ごめんね拭かせちゃって…」
「いーよいーよ
気にすんなって」
シュンくんはニカッと笑ってまた机を拭き始めた。
すっごく…いい人……
「シュンくんってほんとにいい人だよね」
「んなことねーよ?」
「さすが"善次郎"くん!」
私がそう言うと、シュンくんは机を拭いていた手をピタッと止めた。
「…え?」
「?」
「ちょ…ま…えぇ!?」
シュンくんは「何で知ってんの!?」って顔をしている。
「先生が言ってた♪」
「まじかよー…」
そう言うとシュンくんは頭を押さえてしゃがみこんだ。
「どしたの?」
「嫌いなんだよ俺の名前…」
「え…いいじゃん…プッ…俊道善次郎くん…」
「……いや今確実に笑ったよね?」
私はブンブンと首を横に振った。