天然王子
「ふっ…わかった」
シュンくんはそう言うと眉を下げて笑った。
いつものシュンくんだ!
「あ…じゃあもう"シュンくん"じゃないね、じゃあ…"ゼンくん"?」
「いや、普通でいいから。
今まで通りでお願いします」
それじゃあつまんないと思ったけど、またシュンくん機嫌が悪くなったらやだから仕方なく了承した。
「そーだ…2日、アイツの誕生日だよ」
「え?」
9月2日っていったら…あと3日後?
「やっぱり…誕生日といったらサプライズだよね!!」
「うん、祝ってやんなよ」
「ありがとー!頑張る!!」
私は小さく頷くと、両手でガッツポーズをした。
それからドアが開いて、王子が戻ってきた。
「あ、このこと王子に秘密ね!」
私は人差し指を口元まで持ってきてシュンくんに言った。
「わかった」
「……なに話してたの?」
王子がゆっくり冷蔵庫に近づきながら聞いてきた。
「企業秘密です?」
「ふぅん…?」
王子はたいして興味はないみたいで、気にしないで冷蔵庫を開けた。