天然王子
ガラッと戸が開いてゆっくりと王子がこっちに向かってきた。
「あ…ケーキだ」
「今日広瀬くんの誕生日って聞いたから♪」
「……あ、そっか」
王子は一瞬だけ私を見てそう言うと、また目線をケーキに戻してジーッと見ていた。
私はそれに気づいてろうそくをケーキから直ぐ様抜いた。
「……え、それって火つけんじゃないの」
「うん、でもなんかめんどくさいしっ」
「……ろーそくさした意味な…」
王子は呆れてたけど、私は構わずにさっさとケーキを切りわけた。
「はいっ、どーぞ!」
そう言って切りわけたケーキをお皿にのせて王子に渡した。
「……なんか普段見てるスポンジと明らか違うけど」
「大丈夫!!!!」
何の根拠もないのに、私は親指を前に出した。
「……いただきます」
ゆっくりと王子が口にケーキを運んだ。
若干フォークを口に運ぶ手が震えてた気がしたけど…きっと気のせい☆
私は黙って王子の感想を待った。