天然王子
 

いつまでたっても口をモゴモゴさせている王子

私はどうしようもなく不安になって右手にフォークを持った。


「いただきまーす」


自分の作ったケーキを口に運ぶと、なんともいえぬ不快感にかられた。


「苦っ!?んでクリーム味しなっ!!!」


こがしてしまったスポンジと砂糖を入れ忘れた生クリームの味が、一瞬にして口の中に広がった。

私はこんな酷いものを今日誕生日を迎えた人に食べさせてしまったのか…


「あの…なんかごめん」


チラッと王子を見ると、もはやケーキとは呼べないものを無理矢理飲み込んでいた。


「……なんとか舌に触れさせないようにしたけど無理だった。」

「いや、ほんとすみません」


初めてのケーキ作りは、大失敗でした。


「でも、代わりにとっておきのプレゼントがあるから!!!!」


水を大量に飲んでいる王子に向かってそう言うと、私は小走りで冷凍庫の前まで行った。


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