天然王子
「笑っ…た……」
顔を上げると王子が笑っていた。
初めて見る王子の笑顔は、やっぱりかっこよかった。
「王子が笑ったー!!!」
「……王子?」
すぐに普段の顔に戻っちゃったけど、それでも嬉しかった。
なんか逆に、私がプレゼントもらっちゃったみたい。
「ハル」
「はいっ?」
「……このケーキって、もらってもいーんだよね?」
王子の理解不能な発言に私はビックリして目をまるくした。
「え…いや、いーけど…ほんとに食べるの?それ」
「…食べられなくはない」
王子はひとまずアイスを戻しに行き、それから椅子に座ってケーキを食べ始めた。
きっとせっかくの食材を捨てるのは勿体無いから…王子はガマンして…
なんていい人なの!!
「…私も、手伝う!」
私がフォークを持つと、王子はケーキを自分の方へ引き寄せた。
「…ダメだよこれ俺んだもん、あげない」
「えー!!だってコレさすがに全部はきついよ!?」
「んーん、食べる」
黙々とケーキを口に運ぶ王子に、この人は何を言っても全部一人で食べる気だと思った。