天然王子
「まー元気出しなって」
「うぅー…」
机に伏せたままの私の頭をポンポンと紗和が撫でた。
「ねー体育祭何出る?」
「んー…バレーにしよっかな」
「じゃーあたしもそーするー」
私が落ち込んでいると、クラスの子たちの会話が聞こえてきた。
体育祭かぁ…
もうそんな季節かぁ…!
私はガバッと顔を上げた。
「紗和、聞いた?体育祭だって!
何出るか決めたっ!?」
いきなり元気になった私に驚きもせずに紗和が聞いてきた。
「あんたってさぁ…
好きな教科体育、嫌いな教科それ以外、ってタイプでしょ」
「え、なんでわかんの!?」
「…典型的なバカだね」
バカって…!!
紗和は冷めた目でこっちを見ていた。
「いーもん、どーせバカだもん…」
私はふてくされてまた机に伏せた
「あーあ、また落ち込んだ」
すると突然ガンッと横から椅子を蹴られた。
もちろん犯人は一人しかいない…
「何すんのさぁ!」
「よう、どーだった?ケーキ作りは」
「田熊それ禁句」
「あー、やっぱ失敗したか」
"やっぱ"って何さ!!
私は悔しくて田熊を睨みつけた。