天然王子
「ちょっと」
二人と話していると、紗和が私の制服の裾をひっぱって小声で言った。
「この人たち誰?」
「あぁ、あゆこちゃんとみつきちゃん。普通にいい子だよ☆」
紗和は疑っているのか、不審そうに二人を見た。
「ってかさー、あの転校生むかつくんだけどぉー」
「王子と席隣になったからって授業中も昼休みもベタベタくっついてさー」
転校生?あの子転校生なんだぁ…
私はチラッとその子の方を見た。
相変わらず王子が眠そうにしてるから少しほっぺを膨らませてムスッとしていた。
私にはとても真似できない表情です…
そんな時、ポケットの中のケータイが震えだした。
「あ、お母さんだ」
「なんだって?」
紗和が私のケータイを堂々と横から覗き込んできた。
「"帰りに牛肉買ってきて"だって。」
「ぶっ…でた愛用の温泉マーク!!意味わかんないしっ」
お母さんからのメールを見た途端、紗和が吹き出した。
紗和はたまに私に届くお母さんからのメールを読むのが大好きらしい
毎回必ず語尾には"温泉マーク"
気に入ってるのか知らないけど、正直お母さんの絵文字のセンスはどうかと思う…