天然王子
最悪な体育祭
「大丈夫、あたしがいるからには絶対勝たせてあげるから」
体育の授業中、紗和が頼もしい発言をした。
もしかして紗和って経験者…?
「ねぇ、紗和って中学ん時何部だったの?」
「ん?美術部」
えぇー!!まさかの文化部!?
いや…でもまぁ紗和そんな運動神経悪い方じゃないし…
そんな時、紗和にボールがまわってきた。
「紗和ちゃん歩いた!今歩いたよ!」
「は?」
相手チームの子に注意されたのにも関わらず、紗和はボールを握り締めたままつっ立っていた。
「紗和、トラベリングだよっ」
「は?何それ」
えぇー!!!まさか初歩的なルールもわかんないの!?
今、私の頭の中から"勝利"という二文字は完全に抹消されました。
「ま、なんとかなるしょ」
両手でドリブルをしながら紗和が言った。
その自信は…一体どこからわいてくるんですか