天然王子
 

「広瀬くん…?」


屋上のドアを開けると、冷たい風がビュウッと吹いた。

つい最近まで夏だったのに、9月に入った途端寒くなってきた。


「ひろ…」


―ドンッ


「うぉっ!?」


もう一度名前を呼ぼうと思った時、背中に衝撃がした。

その勢いで私は地面に倒れこんだ。


「いったー!!」


―ガチャッ


ん…?ガチャッ?

後ろを振り向くと、開いていたはずのドアが閉まっている


「もしかして…」


ドアを押してみても引いてみても、ガチャガチャと虚しい音がするだけで、びくともしない。

これは…閉じ込められた!?


「うっそおー!!!?」


あ、ケータイで紗和に連絡すればいーんじゃん♪

私って頭いー…


「あ、ケータイ教室だ」


私のバカさ加減に自分で呆れた。


「ありえない!なんで!?
ちょっ…えぇー!?」


軽くパニック状態になった私はドンドンと何度もドアを叩いた。


「うるせー…」


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