天然王子
え、私の他にもまだ誰か屋上にいる!?
バッと後ろを振り向くと…
「……田熊ぁあ…っ!!」
「なんだ、うるせーやつがいると思ったらやっぱお前か」
眉間に皺をよせている田熊がいた。
「聞いてよ!騙されてっ、王子居るって、ドア閉められてっ、寒くてっ…」
「あー、いーから
とりあえず落ち着け」
私は深呼吸をして、頭の中を1回リセットさせた
「てか、田熊なんでここいんの?」
「俺らソッコーで負けたから。それと…ちょっと一人になりたかったから?」
なにその疑問系…
「…負けて泣いてたの?」
「ちげーよ!電話してたんだよ電話!!」
なんだ電話か…つまんない…
ん?電話?
「電話っ!ケータイ!貸して!!
屋上の鍵閉められたから誰かに連絡しないと!!!」
「あ、無理。電池きれてるし」
うーわつかえねー
私はがっくり肩を落としてしゃがみこんだ。
『2年A組、時田さん―』
呼び出しされてるし…
これじゃ迷子のアナウンスみたいじゃん。
てか行きたくても行けないんですよ、こっちはさー…
あーぁ試合始まっちゃう
私、戦ってもいないのに負けんのかな…