私の特等席
試行錯誤を重ね、何とか難を逃れることができた。

先生に度々、席近い!!もっと離れなさい!と注意され、呆気なく席を動かされるし。

その都度私は、先生の見えない所で席を動かす。

きゃー男子が鋭い目付きで私を捉えてる!
そんな日も何度かあった。


それから何週間経った頃。
私は思わず失態をおかしてしまうのであった。

今日はいつもより遅くに起きてしまった。
いわゆる寝坊というやつだ。


高校に入ってから、まだ一度も無遅刻無欠席だったのに、どうしよう…

皆勤賞取れなくなっちゃうよ。

準備を整えた私は慌てて、スッ転びそうになりながらも、走って走って走りまくる。


学校の校門を抜けた瞬間、チャイムが鳴った。

一年生の教室まで長いんだよ、これがもう。
学校広すぎだよ、全く。


この学校は広く、迷子になる人があとをたえない。

だから私も迷子になってました。と 笑顔で先生にそう言えば見逃してくれるかもー


なんて、そんなの通用するわけなかろうに。もう、私のバカー!!
何で今日に限って、遅刻しちゃったんだよ・・・


今更後悔しても遅いのに。


私は教室の前に着くと、思わずガッツポーズをした。
絶妙のタイミングで生徒が皆立ってる!

今、朝のホームルームが始まったみたい!

今なら間に合うかも!

そう思った私は、忍者のよう、音を立てず、体を屈めてしゃがんでは、忍び足で自分の席に向かおうとした。

一番後ろの席で良かった!
先生にまだバレていないみたい。

私って、もしかしたら忍者に向いてる?

そんなことを思いながらも前に進む。


すると、私の席の右隣にいた人が、すっと私の席とその彼の席の中心に移動したではないか。


もしかして、私を庇おうとしてくれてる?

私は急いで自分の席に着くと、堂々と、さりげなく立った。

まるでずっと居たかのように。


でも案の定、先生に見つかってしまった。


その瞬間、右隣の席の彼がこう言ったの。


「あぁー見つかっちゃった」


って、ニコッと微笑んで。
まるで幼い子供のように。



私はその彼の笑顔を見た瞬間、心がドキッとした。


この時からだろうか。
彼を気になり始めたのは・・・



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