幼馴染み~初恋物語~
「ちょっと声を掛けてきなよ?今、友達になっておけばプロになった時に自慢できるよ?」

「無理無理っ!!自分で行けば良いじゃんっ!!」

「えーっ!!どう言えばいいかわかんないよーっ!!」

ちょっとした逆ナンパもどきの話で盛り上がっている二人を、黙ったまま見ている櫻の隣で、少しクールに決めて、髪を掻き上げる和樹。

自分に向かってカッコいいと言われれば、男なら誰だって心地良いもの。

こんな時に面白い顔はできないと、和樹はクールに決めているのだ。

そんな和樹とは逆に、櫻の表情が暗くなっていく。

何をカッコつけてんの…………

この女たらし…………

私がいるじゃん…………

和樹君は、私の事を友達としか思ってないのかなぁ…………

そんな気持ちで櫻は和樹の横顔を見ていた。

好きな人が他の人に色目を使わないでほしいのは、小学生も中学生も大人も同じ。

結局、和樹に声が掛からなくて安堵する櫻だが、いつも和樹が誰かに取られてしまいそうでヒヤヒヤする。

人気者を好きになると、こんな嫉妬が度々起こるのだった。






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