幼馴染み~初恋物語~

寝起きで顔をしかめている和樹は、自分の髪をぐしゃぐしゃと、掻きむしって言った。

「急に大きな声を出すから起きたんだろ…………?何してんの?」

「あっ…………あのっ…………と……と……トランプだよ?和樹君と一緒にトランプをしようと思ってっ!!」

慌てて半分ずつ配り始めた櫻の様子は、明らかにおかしい。

トランプのゲームなんて何十種類もあるのに、何をするかも決めないで、とりあえず配り始めたのだから。

「何をするか決めてから配るんじゃないの?普通…………」

「あっ…………本当だ…………。じゃあ半分ずつだし、ババ抜きでいい?」

「いいよ。何でも。」

こうして寝起きの和樹と、まだドキドキが収まらない櫻が向かい合って行う無言のババ抜きが始まった。



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